はじめに
CIS-Data Foundations(CMDB / CSDM)は、2026年末までに一部CIS資格の前提資格として必須化されることが発表され、ServiceNowエンジニアにとって 避けて通れない資格となりました 。
すでに本資格については、背景や試験範囲を丁寧に解説した先行記事がいくつか公開されています。
そこで本記事では、詳細な制度解説はそちらにお任せし、 「限られた時間の中で、どのように試験対策を行い、合格ラインに到達したか」 という点に焦点を当ててまとめます。
なお本記事は、理論を一から解説することを目的としたものではなく、 一定の前提知識がある方向けの“試験対策記事” である点をご理解ください。
1.本記事の前提条件(対象読者)
まず、本記事を書いている私自身の前提条件を整理します。
この条件に近い方であれば、本記事の内容は比較的再現性が高いと思います。
私のバックグラウンド
- ServiceNow歴:6年
- 関連する経験:
- ITOMの実務経験あり
- ServiceNow 外のITSM実務経験あり
- SNUG CMDBワーキンググループ所属
- 保有資格:CSA, CAD, CIS-ITSM, CIS-VR, CIS-SIR, CIS-CSM, CIS-SAM
学習条件
- 学習時間:約6時間(試験前日〜当日)
CMDBやCSDMの概念自体には、これまでの実務やコミュニティ活動で触れてきましたが、 CIS-DF専用の試験対策に十分な時間を確保することはできませんでした 。
そのため本記事では、
理論の完全な定着を目指す学習
ではなく、
短時間で試験に合格するための現実的な対策
にフォーカスしています。
使用していない学習リソースについて
今回の試験対策においては、
- 非公式の問題集
- Udemyなどの外部講座
といった 非公式コンテンツは使用していません 。(ServiceNowも推奨していません。)
本記事で紹介している内容は、あくまで ServiceNow公式の学習コンテンツを中心にした試験対策 です。
2.先行記事で試験の全体像を把握する
最初に行ったのは、先行記事を読むことです。
具体的には、以下の2つの記事を参考にさせていただきました。
- 【ServiceNow】【CIS-DF合格】CIS-Data Foundations資格合格体験記 ~資格試験対策のコツ~
- Cleared CIS-DF (CMDB & CSDM): Exam Experience, Difficulty Level, and Key Learnings
ここでの目的は、
- 試験の背景
- CMDB / CSDMがどのような位置づけの資格か
を把握することです。
「この試験はCMDBとCSDMが中心テーマである」 という認識を持つだけで、学習の優先順位が明確になります。
3.試験仕様書(Blueprint)を確認する
次に、試験仕様書(Blueprint)を読み、以下を確認しました。
- 出題領域
- 各領域の出題割合
限られた時間で成果を出すためには、
- どこに時間をかけるか
- どこを割り切るか
という試験対策の方針を決めることができます。
特にCIS-DFでは、 出題割合が低くても難易度が高い領域が存在する ため、この確認は必須と言えます。
4.Now Learningを使った学習
CIS-DFを含むServiceNowの試験対策において、 Now Learningは最重要リソース です。
実際の試験も、大半がNow Learningのコンテンツをベースに構成されていると感じました。
私が実際に学習したトレーニング(必須)
この2つはCIS-DFの試験範囲の中核であり、 最低限ここを押さえずに合格するのは難しい と感じました。
- Common Service Data Model (CSDM) Fundamentals
- Configuration Management Database (CMDB) Fundamentals On Demand
時間が取れるなら追加で学習をおすすめしたいリソース
以下の2つのリソースは 「試験に登場した具体的な機能や設定」と密接に関連していた と感じます。もし時間があれば、目を通しておくだけで得点アップの可能性がぐっと高まります。
ナレッジチェックの扱い(重要)
最も重視したのは、各章の終わりにある「ナレッジチェック」です。CIS-DFはまだ情報が少なく、問題の傾向が掴みにくいのが現状です。その中で、公式のナレッジチェックは 「試験でどのような粒度・形式で問われるか」 を知るための極めて貴重な情報源となります。
そのため、単に正解を選べる状態で終わらせるのではなく、
- なぜその選択肢が正解なのか
- なぜ他の選択肢が誤りなのか
を説明できる状態になるまで確認しました。
5.AIを活用した学習効率の向上
限られた学習時間の中で、理解の補助と情報整理を目的としてAIも活用しました。ここでは 方法論 を紹介します。
CSDM:NotebookLMを使った理解補助
CSDMは英語動画が中心で学習負荷が高いため、ダウンロード可能なスライド資料やCSDMのホワイトペーパーをNotebookLMにインプットし、複雑な概念やドメインとエンティティ間の関係性を整理・質問するために活用しました。また、自動で作成可能なテストやフラッシュカードも学習に有効でした。
CMDB:ChatGPTによる要点整理
CMDBについては、テキスト量が多いため、ChatGPTで情報を整理し、重要な論点をリスト化・可視化させることで、読む時間を短縮しました。
6.実際に出題された問題の傾向
組み合わせ(マッピング)形式の問題
複数の項目を正しく紐付ける形式が複数出ました。一つの誤りが芋づる式に連鎖するため、正確な理解が求められます。
CSDM領域は割合以上に重要
出題割合は11%と低めですが、1問あたりの難易度が高く、 ここで失点すると合格が厳しくなる と感じました。
CMDBはWorkspace操作の理解が重要
「どのメニューからアクセスするか」「どのタブで何ができるか」といった、Workspace実機操作に基づいた問題が目立ちました。一度はラーニングインスタンスやPDIで実機を操作することをお勧めします。
出題の大半はNow Learningベース
体感として 約8.5割はNow Learning由来 で、特にナレッジチェックの傾向と近い問題が多く見られました。
7.受験と見直し(合否を分けたポイント)
CIS-DFは 90分・75問 で、他のCIS試験(90分・60問)と比較して、意外と時間がタイトです。
今回は「見直し」が合格に直結した
今回、私は全問回答後に時間をかけて「見直し」を行いました。
その際、数問のミスに気づいて修正できたことが合格の決め手になったと感じています。
なぜ見直しが有効だったのか
設問同士が相互に関係しており、後続の問題を解くことで前半の理解が整理されるケースがありました。
後続の設問を読んでいるうちに、「あ、前半のあの用語の定義はこういうことか」と記憶が呼び起こされることがあります。
普段見直しをしない方も、迷った問題はマークして後回しにし、最後に全体を見て判断するのがおすすめです。
選択肢の特徴と考え方
明らかな間違いよりも、近い用語・概念の中から最も適切なものを選ばせる 形式が多い印象です。
消去法ではなく「最適解」を選ぶ必要があります。
単純な暗記ではなく、 違いや使い分けを正しく理解しているか が問われる試験だと感じました。
まとめ
CIS-Data Foundationsは、出題傾向と重要ポイントが比較的明確な試験です。
- Now Learningを軸に学習する
- ナレッジチェックを軽視しない
- CSDMとCMDB Workspaceを重点的に対策する
- 見直し前提で時間配分を考える
これらを意識すれば、実務経験がある方なら短期間でも十分に合格を狙えます。
最後に
本記事では最短合格のための「対策」に焦点を当てましたが、この試験の範囲であるCMDB/CSDMは、ServiceNowに関わるすべての人にとっての「土台」となる非常に価値の高い知識です。
ServiceNowが本資格を他のCISの前提条件に据えたのも、その重要性の裏返しと言えます。
本記事が皆様の合格の一助となることを願っています。そして、この試験への挑戦をきっかけに、ぜひデータ基盤の深い理論についても興味を広げ、日々の実務に活かしていただくきっかけとなれば幸いです。